「次の一歩」

新年おめでとうございます。今年の元旦は2011年1月1日で「1」が目立つ。「1」は、始まりであり、原点に戻る時であり、仕切り直しの時でもある。この意味で、心を新たにされ、また改める時と言えよう。21世紀はじめの10年が過ぎ、新たな10年の幕開けでもある。グローバル化が進む世界で「人とものと情報」が飛び交い、ある出来事を的確に把握できない中で、物事が次から次へと進んでいく。日本を取り巻く環境も一変しつつある。経済的にも政治的にも環境的にも、「次の一歩」をどう進むのかがおぼつかない状況だ。

2001年からの10年間で、世界は様々な分野で「袋小路」の中にあるかのように思える。2001年の「米国同時多発テロ事件」以降、全く新しい戦いに全世界が翻弄されている。中東と東アジア情勢が緊迫し、アフガニスタンや朝鮮半島は今も緊張が続く。経済成長が米日欧からBRICsにシフトし、2008年の「米国リーマンショック」が世界経済に金融危機を招き、今も迷走している。地球温暖化防止のための取り組みも先進国と後進国など各国の思惑が絡み、その調整や協力の目処がいまだ立たない現状にある。それぞれの袋小路の突破口となる「次の一歩」が待たれる。

本学も昨年、創立20周年を記念した。総定員160名の超小規模大学であるが、日本と世界の人々の平和と繁栄の社会づくりに、イエス・キリストの隣人愛と奉仕の精神をもって、教会と社会に仕える働き人を育てようという高い志を掲げている。過去20年間、先人の知恵と結集によって支えられてきたが、先般の少子化や経済的不況の中で、本学も学生募集と財政健全化に苦闘している。今後の10年、相応しい学生の確保と本学の教育を支える健全な財政のために、卒業生を主体とする全国的な支援体制のためのネットワーク作りに取り組みたい。この「次の一歩」への協力を願うところである。このことはまた、日本のキリスト教会との共通の課題であるし、教会と本学とで「若者を育てる」宣教協力として取り組まねばならない事柄であると考えている。

「イエスは『来なさい』と言われた。そこで、ペテロは舟から出て、水の上を歩いてイエスのほうに行った。」(マタイ14:29)