「天田繋先生とメサイアコンサート」

早や12月、「光陰矢のごとし」のごとく、年末に向かってことをなし遂げ、そのために走り回る季節の到来である。教会暦ではクリスマス・アドベントを迎え、毎年恒例となったヘンデル作曲「メサイア」コンサートが12月17日(金)午後7時から本学大チャペルで開催される。日本語で歌われるコンサートとして意義深い。とても名残惜しいことであるが、今回のコンサートが長年務めてこられた天田繋先生の最後の指揮となる。前身校の時代から本学で教会音楽の授業やクワイアの指導をされてきた天田先生が今年度をもって退くこととなったからである。何と44年間にわたるクワイア指導であったと聞く。定年後も特任教授として教会音楽のみならず、様々な分野で多くの学生たちに感化を与え、薫陶されてこられた。私もその薫陶を受けた一人である。

天田先生と私の出会いは37年前の1973年まで遡る。大学生であった頃、東京クリスチャン学寮(現在、東京ティラナスホール)夏期伝道旅行で米国に行くこととなり、男性クワイアの指導者として来られた。先生のユーモア溢れ、人に与えられている潜在能力を引き出すうまさに、いつしか歌うことの楽しさを教えられ、主なる神への賛美に引き込まれてゆくと感じたのは私だけではあるまい。その人柄とひたむきな音楽への情熱に、私たちは魅了されたものだ。今回の本学創立20周年記念行事における学園クワイアによる賛美も卒業生35名と在校生35名の70名による賛美がなされたが、先生の指導を受けた者たちの一体感で溢れていた。年を重ねた先生のタクトを振る姿を今年のコンサートでは目に焼きつけておきたいものである。

教会と音楽はとても関係が深い。教会音楽は、礼拝においても宣教の活動においても欠かせないものでありながら、それを指導する働き人が少ないことも事実である。確かに、音楽を専攻するにはある種の才能が必要であり、また、その授業料も決して安くはない。しかし、音楽は人々に届きやすく、また、人々をつなぐものでもある。教会の形成にも地域への貢献にも音楽は大切な要素となる。本学では、2011年度より本学に「教会音楽奉仕者養成課程」(大卒対象1年の専攻科、学部での教会音楽副専攻と教会音楽基礎コース)を設置して、教会音楽奉仕者を育成したいと願っている。天田先生からバトンを受け継ぐ、すばらしい先生方も与えられていることは感謝である。教会には、本学でこれからの日本の教会音楽を担う働き人を育ててほしいと強く願わされている。

「ハレルヤ。主に新しい歌を歌え。聖徒の集まりで主への賛美を。」(詩篇149:1)