「教会実習」

東京基督教大学は神学部単科の大学である。学生たちは将来、「教会と社会」で仕えるクリスチャン奉仕者として立つために全寮制で大学教育を受けている。最近では珍しい大学と言える。やがてキリスト教会の牧師となる者もいれば、キリスト教諸団体や出版社、福祉施設、海外救援開発のNGOで働く者と多様である。いずれの者もキリスト教隣人愛に押し出され、それぞれ使命を頂いて卒業してゆく。

大学のカリキュラムの特徴の一つに、毎週日曜日の「教会実習」がある。教会の礼拝出席、教会学校での、特に、子どもたちへの聖書に基づいた教育への取り組み、中高生や大学・青年層への霊的・人格的な働きがけなど、キリスト教の隣人愛を実際的に学ぶ機会としている。「人に仕える」とは、その人の「隣人になる」とは、実際に、どのようなことなのかを地域教会の現場で、牧師や教会指導者のもとで学ばせて頂くのである。教場での聖書的世界観に基づく教養と神学、異文化理解を修めるのみならず、地域教会という現場で、具体的に人々との関わり合いを通して、学んだことを「身につけて」ほしいと願っている。

大学は夏休みとなった。けれども、学生たちはこの夏も、さまざまな実習に赴いてゆく。すでに全国各地の9教会に、その地域教会の働きを手伝い、そこで実習の機会を得ようと神学校生も含めて60余名が派遣された。また、海外の救援開発NGO団体との協力の中で、アフリカ、南米、東南アジアで実習する学生たちがいる。また、日本でのクリスチャン・キャンプでキャンプリーダーやカウンセラーとなって奉仕する学生たちも多い。夏休みは、学生たちにとって、「実習」の最良の機会なのである。「心を尽くし、思いを尽くし、力を尽くし、知性を尽くして、あなたの神である主を愛せよ。また、あなたの隣人をあなた自身のように愛せよ。」(ルカ10:27)