「夏期卒業式」

大学・大学院の9月入学の議論がさかんになっている。日本の18歳人口の減少と高等教育の国際化の流れの中で、日本の大学の質の向上と活性化を計るために、特に、アジアからの優秀な留学生を受け入れる必要が叫ばれている。東京基督教大学では、「建学の精神」に則って、キリスト教の世界性とその使命の普遍性から、2001年9月より「アジア神学コース(”Asian Christian Theological Studies for English Speakers”: ACTS-ES)」 を設置して英語による授業を行っている。

7月5日(木)にその「第三回卒業式」を迎える。これまでは、「ACTS-ES卒業式」と呼んできたが、帰国子女にも9月入学の門戸を開いたこともあって、今年から「夏期卒業式」と名称を変更する。ちなみに、今回の卒業生は、留学生が5名(インド3名、インドネシア1名、ネパール1名)と日本人2名の計7名である。小規模大学での少人数の卒業生、しかもその卒業式は、当大学にあっては、学生をこれまで支え、守り、その学業を導いてくださった主なる神を崇める礼拝が中心のものとなる。

ことばと文化の違う日本で、英語による授業といっても、日本語習得の授業があり、また、寮生活はすべて日本語という環境の中で、「カルチャー・ショック」を数多く体験したであろうし、そこでの葛藤と失望、望郷と忍耐を強いられたに違いない。しかし、四年間の日本おける学びと生活を通して、彼らは一層たくましくなった。異文化を理解し、自分とは違う他者を受け止めようとする姿勢が育まれたのではないかと思う。願わくは、母国の人々と私たち日本人とをつなぐ「平和の架け橋」となってくれることを願う。「キリストこそ私たちの平和であり、二つのものを一つにし、隔ての壁を打ちこわし、ご自分の肉において、敵意を廃棄された方です。」(エペソ2:14-15)