「セイヨウタンポポ」

東京基督教大学のキャンパスには「中庭」がある。本部棟と教研棟に挟まれ、カフェテリア・図書館とチャペルに挟まれた空間である。学生たちにとって、これがなかなかの癒しの空間となっている。昼休みには広い芝生に何組かの学生たちが輪を作って語り合ったり、寝そべって天空を見上げたりと、思い思いの時を過ごしている。そこは確かに一時の平安を体感する場所でもある。

その中庭に今春異変が起こった。何と「セイヨウタンポポ」(別名アメリカタンポポ)の大繁殖である。ものの情報によると、セイヨウタンポポは明治初期に札幌農学校のブルックスという教師がアメリカからサラダ用に持ち込み、家庭菜園に栽培したのが始まりと言われている。キリスト者であったクラーク先生で有名な農学校が起源であるなら「納得」と行きたいところだが、一時中庭をやがて占領するのではないだろうかと思うほどの勢いであった。在来種と違って、単為生殖で、種が軽くよく飛び、繁殖旺盛で春だけでなく秋まで咲き続けるらしい。

中庭の芝生を圧倒するセイヨウタンポポの強い繁殖力には目を見張る。タンポポは薬菜(くすな)とも呼ばれ食べられる。「雑草」と思っていたタンポポの強い生命力と繁殖力に、どのような環境の中でも、大地にしっかりと根を下ろし続けて実を結んでゆく「しぶとさ」を感じ取る。われわれの教育にも、生き方にもチャレンジを与えているセイヨウタンポポである。「きょうあっても、あすは炉に投げ込まれる野の草さえ、神はこれほどに装ってくださるのだから、ましてあなたがたに、よくしてくださらないわけがありましょうか。信仰の薄い人たち。」(マタイ6:30)