「大学の前身校の先人たち」

どこの大学にも創立時の理念や「建学の精神」がある。そしてそこにはその創立から今日まで、その理念や建学の精神を担った先人たちがいる。脈々と続く大学の歴史は、その先人たちの地道で忠実な働きに負うところが大きい。考えてみれば、その先人たちは、立場や役割が違っても、それぞれの本分を果たし、その建学の精神をその時、その時代の必要や要請に適う仕方で展開して、社会に有益となる人材を輩出してきたと言える。東京基督教大学も、同盟聖書学院、日本クリスチャンカレッジ、東京キリスト教短期大学という前身校を経て、教会と社会に奉仕する人材を輩出すべく、1990年に開学の運びとなった。

私をキリスト教信仰に導いた宣教師のご夫人が去る5月15日に84才で天に召され、その追悼記念会に先日出席した。彼女の略歴をみると、何と1951年に宣教師として来日し、その後、日本クリスチャンカレッジにて図書館の仕事をされたことが分かった。そして、当時学生であった二人の婦人牧師が、当時の宣教師夫人の人柄と様子を語ってくださった。個人的ではあるが、私にとっては思いがけない発見となった。この前身校の創立者であり名誉学長のドナルド・ホーク師が昨年11月に87才で天に召され、ご夫人を今年3月にフロリダに訪問した際、彼女にとって親しい友人というこの宣教師夫人と、実は電話で話す機会があった。その時は同じ宣教団であるので親しいと思っていたが、今回召された彼女の略歴を見て二人は同じ前身校を担った仲間であったと納得することができた。そればかりでなく、彼女に導かれた者が時を経てその後の大学で働く不思議さと幸いを深く覚えたことである。「義を追い求める者。主を尋ね求める者よ。わたしに聞け。あなたの切り出された岩、掘り出された穴を見よ。」(イザヤ51:1)