「いよいよ秋学期」

夏休みが終わり、秋学期がいよいよ9月6日から始まる。9月入学の留学生(ACTS-ES)7名(ケニア2、インド、ジンバブエ、カメルーン、ネパール、ミャンマー)と短期留学生2名(米国バイオラ大学)を新たに迎える。全寮制である本学では、学びと生活を共有する中で、新たな出会いとより親密な交流が育まれることを期待している。日常が異文化体験の場となるに違いない。学園キャンパスもこの夏休みに、だいぶ様変わりした。寮のカーペットの貼り替え、国際宣教センター館と福祉実習棟の建設、図書館2階の改修工事、教研棟通路のスロープ工事等が行われ、教育環境が充実しつつある。

授業開始に先立ち、9月3日に「専任教員研修会」がもたれた。今回のテーマは「現代の子どもたちの理解のために」で、学校カウンセリングや教育相談で用いられている栗原慎二氏(広島大学大学院教育学研究科付属教育実践総合センター准教授)をお招きした。ご講演の中で印象深かったものは、現代の子どもたちの幾人かは、「慢性的な愛情飢餓状態」にあるというものであった。幼児期に両親から本来受けるべき愛情を受け止めることができず、自分が受入れられていないと感じる中で、自尊感情が低く、また、人への信頼感も乏しい状態にあることが指摘された。それゆえ、人との深い関わりを避ける傾向が強いというものである。

「自分が受け止められ、理解されている」という体験を子どもたちは求めている。「人は愛される中で、人への信頼を増す」ということが今も心に響いている。信頼され、信頼することを学ぶ。人の役に立つ体験を数多くする。ここに本来の人格的な成長の根幹があるようだ。そんな具体的な体験を関わる教師たちから学ぶということであろう。全寮制は人との関わり合いが必然的に求められるが、互いに受け止め、理解し合う体験となればと願っている。キリスト教信仰は、神の愛に感動するところから隣人愛と信頼が湧き出るものであることを、今学期は特に体得したいものである。「私たちは愛しています。神がまず私たちを愛してくださったからです。」(1ヨハネ4:19)