「抜本的な改革へ」

2009年度が始まった。昨年度24名の卒業生を送り出し、今年度49名の新入生を迎えて、来る4月7日(火)に入学式を行う予定である。今年は例年になく多くの新入生を迎えることができ安堵するとともに、諸教会にこのような人々を起こしてくださった主を崇めたい。しかし、世界的な経済危機のあおりを日本はもろに受けて大きな苦境に立たされている中、企業は業務を抜本的に見直し、支出を大幅に削減する計画を果敢に打ち出し取組んでいる。大学全入時代を迎えている大学自身も、否応なくその建学の精神をもう一度確認し、その教育目標を問いただし、経営の健全化を図って、その存続をもって日本と世界のために有為な人材を輩出するよう、絶えず自己を改革してゆかねばならない。

本学の2008年度の大学基準協会による認証評価は、「保留」の結果となった。これは、合否の判定が先に延ばされたということである。自己改革の可能性を見ていただいているとも言える。認証評価は第三者評価とも言われ、本学を外からいわば客観的に観察していただくものである。指摘された課題は、併設の神学校との関係改善ということと、財政の健全化ということである。このことは、本学が1990年の開学当初から抱えていたもので、この第三者評価は、この課題への取り組みを加速させる「触媒」となったということである。「チャンスはピンチという衣装をつけてやってくる」という名言にあるとおり、これまで歴史的な関わりや事情が絡まってこの課題への取り組みが先々へと延ばされていたが、ここできっちりと向き合わねばならない。この意味で、今年は本学にとって抜本的な改革を行う年となる。

本学開学までの歴史を確認するとき、先人たちの「21世紀の宣教の働き人」養成のビジョンに改めて心打たれる。1980年の三校合同(共立女子聖書学院、東京キリスト教短期大学、日本基督神学校)の理念は、じつに「三校が一つとなって新校」を設置し、「教職者とともに信徒奉仕者も養成する」というものであった。歴史的な経緯の中で、本学がこのビジョンと理念のもとで文科省認可の四年制神学大学として認可されたが、専修学校である神学校が残されることとなり今日に至った。同法人内で教会教職養成が二つの学校で行われていることは、当初のビジョンと理念にそぐわないことであるとともに経営的にも非効率である。「賜物を結集して」21世紀の教会と社会の必要に応えうる教会教職養成をなすために、これを大学で一本化し、近い将来に大学の上に「大学院」を設置して、より充実した教会教職者を養成して教会と社会に仕えたいと願っている。「御国が来ますように。みこころが天で行われるように地でも行われますように。」(マタイ6:10)