「年度末の学生動向」

2009年度も終わりを迎えている。3月12日(金)に卒業式を終え、22名(神学校15名と合わせると37名)を教会と社会に送り出した。地域教会や教会付属の幼稚園で働く者、高齢者介護施設や企業で働く者、さらには進学する者と、その行き先は多種多様である。二人のシニアの卒業生には、特に、エールを送りたい。就職難の今日、与えられた職場で少なくとも三年は腰を据えて励んでほしいものである。自分の理想とは違い、また、職場の欠点や腑に落ちない事柄に納得のいかないこともあるだろうが、まずは謙虚になって学んでもらいたものである。キリスト教関係のところで奉仕する場合には特に、一端の正義感で早急に判断し、批判や不満を募らせがちである。謙遜に、謙虚に、上司に従い、忍耐をもってその仕事に精を出してほしい。三年後には、新たな展開となることが多いからである。

今年度も「学生募集」に力を注いだ。本学はある面「狭き門」である。建学の精神とその教育目的が「教会と社会に仕えるキリスト教奉仕者の養成を」と謳っているからである。近年、少子化の中で18才人口が激変(1992年の205万人から2009年の121万人へ)して、今や「大学全入時代」と呼ばれるようになった。学生の確保が大学の死活問題となっている。本学は、加えて、若者の教会離れが進む中で、クリスチャン青年の中で、将来、キリストに献身して、教会と社会で奉仕したいと志す者を受入れようとしている。教会に若者が導かれること、そして、教会と社会に仕えたいと志す者が起こされることは、本学の願いばかりでなく、日本の教会全体の「祈りと願い」である。教会と本学のような神学教育機関は、この共通の課題に協力して取り組む必要がある。

明るい兆候はあちこちにある。若者たちをとらえている教会が増えて来たことや、外国でクリスチャンとなって帰国した若者が増え、日本の教会への定着を励ます働きとネットワークが充実してきていること、高校・大学生、若者のためのクリスチャン・キャンプに教団や教会がより一層力を注いできていること、さらに、チャーチスクールが教会のミニストリーに加えられ、その数が増えてきたことなどである。もちろん、若者だけでなく、シニアの中にも定年を迎えて、これまでの経験とその賜物をもって教会に仕えたいと志す人々が少なからずいる。さらに南半球で急成長しているキリスト教会からの留学生が日本文化と神学を学びに来ようとしている。これらの兆候を一つ一つ丁寧に追い求め、接触し交流する中で、教会と本学の共通の祈りである人々が起こされてくる。定員割れの大学が多い中で、来年度、本学は今のところ定員を満たしていただけそうである。お祈りとご支援を感謝したい。「収穫は多いが、働き手が少ない。だから、収穫の主に、収穫のために働き手を送ってくださるように祈りなさい。」(マタイ9:37-38)