「同窓生とつながる」

10月下旬から11月初旬にかけて、本学の同窓生との交流の機会が多くあった。というのも毎年、この時期には、創立記念礼拝や講演会があり、また、大学や神学校を多くの方々に知っていただき、祈りと支援をお願いする「学園デー」が予定されているからである。今年の「創立記念礼拝・講演会」は、10月29日(木)に持たれ、特に、併設の東京基督神学校創立60周年を祝う時でもあった。名誉校長の下川友也先生のメッセージ「辺境から日本宣教を」との強い志と決意が伝わる。そして、名誉教授の小畑進先生の「アレオパゴスのパウロ」から、偶像に敢然と立ち向かい、聴衆である当時の人々の思潮に切り込みつつ、福音を大胆に語る使徒の姿を彷彿とさせる講演に、心が燃えた。かくいう私も神学校の同窓生で、小畑先生は恩師でもある。60周年であるゆえか、同窓生も例年になく50名を越す人たちが参集した。現神学生と合わせると100名近くとなり、チャペル壇上での記念写真を今日見せてもらったが、なかなかのもの、圧巻である。

翌日は、恒例の東京における「学園デー」があり、神宮球場近くの日本青年館で開催された。250名あまりの方々が来られた。学園理事の柏木道子先生の夫君である柏木哲夫先生(金城学院大学学長)を講演者に、また、小林吏奈氏(坂戸キリスト教会伝道師、本学と神学校の同窓生)、山之口めぐみ氏(坂戸キリスト教会員)を歌と演奏者にお招きした。柏木先生は、大阪の淀川キリスト教病院で、日本で初めてホスピスを開設された方で、精神神経科の医師でもある。当日は、「いのち・こころ・いやし」ということで、最近、「ことば」にこだわるようになられ、そのことばの持つ「深さ」と「広がり」に気づきを与えられたことから、「生命」と「いのち」の違いや、「生きる力」と「生きてゆく力」の違いを説明されて、「気持ちが分かってもらえた」という「こころ」を通わせる中で「いやし」が与えられてゆくことを、臨床経験をもとに講演され、「理解的態度」の必要と訓練を力説された。共感するとともに自らの欠けも覚えさせられた。キリストの奉仕のこころを諭されたような気がする。

この学園デーの参加者に同窓生が多くおられた。学長としての挨拶において、壇上から本学の同窓生をはじめ、その前身校の年輩の方々を数多く拝見できた。今年、神学校60周年を祝ったわけであるが、その神学校での教会教職養成を本学と今後計画されている本学大学院とで担うこととなり、神学校が大学への統合という形で幕を閉じる。これは30年前の志の実現でもある。学園デーに参加された同窓生たちは、皆それぞれの前身校の卒業生であり、神学校や本学のそれであるが、30年前の合同時に夢見た「一つの新校」の同窓生として、共にいるように思えた。この一週間前には、福島いわき地区での「学園デー」があり、地方における同窓生たちが協力して本学を地域に紹介し、神学教育のための支援と学生の募集に協力を呼びかけてくれた。そこには本学と前身校の同窓生たちの存在と協力がある。このような同窓生たちの地域ごとのネットーワークと本学とのつながりがいよいよ盛んになることを願ってやまない。「友はどんなときにも愛するものだ。兄弟は苦しみを分け合うために生まれる。」(箴言17:17)