「危機管理」

夏休みは、本学の学生たちにとってさまざまな実習と経験の良き機会となる。例年、国際キリスト教福祉学科国際キリスト教学専攻の「異文化実習」があり、今年はフィリピンで行われた。現地のNPO団体と協力して、特に、福祉的な働きを見学し、その活動に参加するものである。一ヶ月という期間で少なくとも「訪問」レベルから「滞在」することを通して、そこで見聞きし、困ったこと、不可思議な事柄、現地の人々の対応などから、異なった文化を理解しようとするものである。すでに実習を終えて無事に帰国した。もう一つ、昨年まで冬学期(1月-2月)に行っていた米国シアトルでの海外語学研修が今年から夏休み(7月-8月)に変更された。従来1年生の後半での提供であったが2年生の夏休みとなり、学生たちの英語習得効果をより高めようというものである。この語学研修は、8月末まで続く。

日本国内における実習もさまざまあるが、夏休みの学生たちの活動を見守る「危機管理」が近年益々重要となっている。今夏の日本列島は、多くの災害に見舞われている。長雨と集中豪雨による土砂崩れや大洪水によって、尊い人命が多数失われ、家屋が流され、床上浸水に見舞われ、被災者は苦悩の中にある。更に追い討ちをかけるように東海・関東地方に強い地震があった。そこでいつも問われるのが、危機管理であり、そのときの体制と対応が課題となる。「備えあれば憂いなし」というが、災害は思いかけず来るもので、その只中でいかに準備してきている事柄が適切にできるか、できるようになっているかということであろう。右往左往してしまうのが私たちの現実でもある。

本学では、例年、「海外派遣プログラム危機管理対策」を整え、体制と対応を備えているが、今年は、加えて世界規模で流行している「新型インフルエンザ」への対応にも、本学は対策本部を立ち上げて準備をしてきた。夏になっても収まることなく、さらに広がっている現状を憂慮しているが、実際、色々な夏のキャンプや集いで現実の課題となっている。そのために、再度、学生に注意を喚起しているところである。今日は64回目の終戦記念日である。個人として、かつて日本内外に戦禍をもたらした歴史を深く心に刻み、戦争を放棄した日本の平和憲法の意義を、昨今の国内・国際情勢の只中で改めて思い起こし、国の危機管理を、この憲法に沿うかたちで具現化できる政治家を8月30日には選びたいものである。「だから、あなたがたも用心していなさい。なぜなら、人の子は、思いがけない時に来るのですから。」(マタイ24:44)