夏期伝道での感動

7月25日の施設巡回で3年生の介護実習の前半グループが終了。介護施設での厳しい環境での12日間。それぞれの実習学生の奮闘があった。その報告は他の先生にお委ねすることにして、サッカーの大好きな私(井上)は、一週間経過しても冷めやらぬ感動と興奮を与えてくれた「なでしこジャパン」の活躍(それもおおいにしたいが)…ではなく、夏季伝チームの一報告をしたい。

今年の夏季伝道は、全国9か所の教会に祈られて派遣されていったが、特徴的なことは被災地に2チーム派遣されたこと、特筆は福祉専攻の学生が9名参加したことだ(実に、6人に一人くらいなので、1チームに一人以上いた計算になる)。1年生は全員参加、介護実習のある3年生は、実習優先だが、実習主任のN先生の粋な計らいで後半に介護実習を残した2名がサブリーダーとして参加して派遣地で活躍した。

福祉専攻1年生は何と全員参加。これには担任の私も刺激を受けた。来年度以降は、3学年にわたる学年での介護実習が予定されているため、もし参加するなら今年しかないであろうと、1年生にも背中を押されるような感じで、私もK教会チームの夏季伝に一部参加した。

夏季伝の準備は、春学期の試験レポート期間と準備期間が重なる。中には、30本以上のレポートや課題と格闘しながら準備した学生もいた。行く前から消耗戦だが、そこはさすが若さと情熱。チームリーダー中心に綿密なスケジュール表が作られ、ミーティングと祈りが積まれていった。私は、初日から出張があり、2日間くらいしか参加できなかったが、スタート前日の夏の卒業式の午前中、わずかな間隙をぬって、リーダー学生と現地下見と打ち合わせに行き、私も参加モードにスイッチを入れることができた。

参加した1日目

老人ホームを訪問。K教会M牧師により、このプログラムはぜひバックアップと言われていたので、開始の10日前にホームの施設長さんに電話を入れておいた。最初は「東京基督教大学?え、どちらの何の学校?」という返事で不安もあったが、行ってみるとチームを迎えてくれたBGMはなんと賛美歌だったので感激。メインの人形劇の前座として、からだを動かすレクリエーション体操を急きょ担当(学生からメールが送られていたというが確認できず、当日知った)。20年前に覚えた歌と体操でうまくいくかは心配だったが、そこは人生に大先輩のホームのご高齢者。昔のことほどよく覚えている!?。ノリよく盛り上がった。

午前中の準備で私が教えた「君は愛されるために生まれた」の手話賛美だったが、若い学生の皆さんは呑み込みが早いことに脱帽!上々に披露できたところで、いよいよ人形劇。練習よりも迫真の演技(声技)でとてもよくできていた(TCI生は本番に強いことが証明!)。

訪問の後は、近くの小学校の下校時間にこども集会や英会話プログラムのチラシ配り。迎えにきた親御さんから怪しまれて煙たがられる場面もあったが、そこは「福音を恥としない」精神で誠実に粘り強く。一枚のチラシが魂の救いにつながるようにと祈りつつ。

主日のコンサート・BBQ…そして、

この日は、プログラム後半のクライマックス。ゴスペルコンサートには、多くの子どもたちが来てくれた。教会員の美しい賛美、学生の証しやM先生のバイオリン、チームでの合唱、紙とはさみを使った印象的なA神学生のメッセージ。盛りだくさんでこころに残るものばかり。バーベキューにも多くの小学生から中学生までの新来メンバーがいて良い交わりができたこと、感謝あるのみ。

もっとも多忙な時期に、信仰と情熱を持って準備し、参加したメンバーひとりひとりは本当に素晴らしかった。ひとりひとりができることは小さくても、賜物を持ち寄って厳しい条件の中でも最後まであきらめず、チームワークを発揮して(そう、なでしこのように!)、神様に用いられ、栄光を現わしていた。与えられたプログラムをこなすのでなく、創造的に自主的に、福音のためにこころをひとつにして奉仕するチームメンバーの姿はまさにTCIの建学の理念を体現していた。また、最終年度になる神学校3年生から国際、福祉にいたるまでの多彩(多才)なメンバーがひとつになる姿は、福音の豊かさと一致の象徴であることも実感できた。

ある時は農夫となり、ある時は大工になって会堂を拡張したまさに手作りの開拓教会で、集う人々は十数名でも、国際色も豊かでアットホームな教会形成をしているM牧師からも学生たちは多くを学んだと思う。世の富、誉れを捨て、キリストのために喜んで生涯を献げ、さわやかに奉仕されているM牧師の姿には、献身者の原点、モデルを見た想いだった(実は、このM牧師、私が学んだ神学コース:共立研修センターの一つ上の先輩でもあったゆえに余計に感動を覚えた)。その教会をTCU卒の兄姉が開拓当初から教会を支えている姿を見ることができたこともTCU教員の私にはこの上ない励みであり、喜びであった。

ほかのチームの様子は、ネット上の報告での想像になるが、どのチームに参加した福祉専攻の学生も、上級生になって介護実習に行く時にも、夏季伝で培われた熱い思いと仲間のサポートを信じて派遣されていくであろうことを確信させられた(「夏季伝にはまる!?」学生のこともこれまでよりも理解が進んだと思う)。先に、介護実習を本日終えた学生たちもそれぞれ、自主的に実践のフィールドで奉仕する予定が多くある。学生たちにとって実りある夏であることを祈って、エールを送りたい。(井上貴詞)