「松原湖畔にて」

長野県小諸から山梨県小淵沢まで小海線が延びている。その丁度真中に「松原湖駅」がある。かつては多くの人々が「松原湖」を訪れたと聞くが、最近はあまり人気がない。むしろ、さらに登った小海リエックス・スキー場の方に人気があるようだ。しかし、キリスト教界では「知る人ぞ知る」ものがある。それが、松原湖バイブルキャンプ場である。松原湖よりさらに上の場所に「大月湖」がある。その湖畔にチャペル、食堂、宿泊コテージが立ち並ぶ。木立と湖に囲まれた「魂のふるさと」として多くの人々に親しまれ利用されている。

今回、本学では学期制・時間割の変更に伴い、これまで秋学期に実施していた「修養会」を「風薫る五月」に移し、学生主導のものを、学生と教授会が協力して行う「スプリング・リトリート」に名前を代えて行うこととなった。今まさにそのリトリートをこの松原湖バイブルキャンプ場で過ごしているわけである。5月14日に、千葉をどしゃ降りの雨の中を出発したが、松原湖ではやがて雨も上がり、15日と16日には快晴の天候に恵まれてリトリートを楽しみ、互いに語らい、主なる神を賛美し、自分を見つめ、聖書のみことばに心探られる意義深いときを過ごしている。今回のリトリートのテーマは「恐れるな」で、「大学での学びや寮生活、卒業後の進路など、自分で思い悩むのではなく、神に信頼して、恐れずに進んで行こう」というものである。

「松原湖バイブルキャンプ」は、本学の幾人かの学生にとっても、かつて聖書のみことばに心を探られ、クリスチャンとして生きる決断をした思い出深い場所でもある。また、本学の学生が、特に、夏のキャンプに実習の場としてお世話になっているところでもある。この意味でも、この場所は学びと寮生活を一時休止して、もう一度本学で学び、生活する意味を新たにする最良の場であると言える。「恐れるな」のテーマのもと、「恐れよ。そして、恐れるな。」と三回に亘って、聖書のみことばをもって彼らを励ます機会を得た。「恐れない人生は、『主なる神を恐れる』ことから始まる。」こと、その神が、「神を恐れる者」とともにおられ、「恐れ」に立ち向かう力を与え、確信と勇気を与えてくださることを、ともに覚えることができた。「神はわれらの避け所、また、力。苦しむとき、そこにある助け。それゆえ、われらは恐れない。」(詩篇46:1-2)