「廣瀬薫氏が新理事長に」

2012年は世界をリードする国々の指導者選挙の年である。注目のフランス大統領選挙は、5月6日に第2回投票が行われ、フランソワ・オランド氏が現職のニコラ・サルコジ氏を制してフランス大統領に選出された。実に17年ぶりの社会党からの大統領となった。また、ロシアも去る3月にドミートリー・メドヴェージェフ氏の後を受けてウラジーミル・プーチン氏が大統領に返り咲いた。そして世界の経済大国の米国の大統領選挙が11月に実施され、また、中国の国家主席の交代が待たれている。さらには「アラブの春」によってもたらされたエジプトの大統領選挙も今や世界の関心事である。世界情勢は指導者の交代等で、どのような舵が取られてゆくのであろうか。

指導者交代の年は、本学にも当てはまる。2期8年の理事長職を担われた赤江弘之氏が任期満了に伴い去る5月22日をもって理事長職を退任された。この時期の本学園はまさに激動の中の舵取りであったと思う。学園は世界に広がる経済危機と政治の不安定さの中で、小規模大学の生き残りをかけた経営努力に専心せねばならなかったし、加えて、学校法人に課せられた認証評価への対応に心血を注ぐ必要があった。その中で、「国際キリスト教福祉学科」と「大学院」の創設を生み、本学が目指す「キリスト教世界観に立つ神の国の働き人を育成する」というビジョンの実現と広がりに貢献してくださった。赤江前理事長の幾多の労苦に心から感謝を表したい。5月23日より、これまで常任理事として前理事長を支えてこられた廣瀬薫氏が理事長職のバトンを受け継ぐこととなった。

廣瀬薫氏は、ここ千葉ニュータウンのキャンパスでの卒業生である。国立からの引越しも経験され、また、四年制神学大学創立時に神学校の学生として在籍した経験を持つ。学生として、卒業生として、また、理事として、廣瀬氏は、本学の建学の精神と教育の使命について鋭い批評眼と具体的で建設的な意見をもって深く関わってこられた。5月29日の本学チャペルにて、「賢い建築家のように」と題してメッセージをされ、土台であるイエス・キリストをしっかりと人生に据え、この方を知り、この方についてしっかりと神学し、この方を人々に分かる仕方で伝えることができるようにと学生や教職員を励まされた。一回り若返った理事長として、その人柄と手腕に大いに期待するところである。神の器として豊かに用いられるようにと、ともに祈りに心を合わせていただければと願う。

「与えられた神の恵みによって、私は賢い建築家のように、土台を据えました。そして、ほかの人がその上に家を建てています。しかし、どのように建てるかについてはそれぞれが注意しなければなりません。」(1コリント3:10)