私たち日本の問題

『福音と世界』2月号に、姜尚中氏と小中陽太郎氏の対談「私とキリスト教」が掲載されている。姜氏が指紋押捺拒否を一年ほど続け、これ以上押さないと逮捕されるという状況で牧師に相談したところ、牧師は「指紋押捺問題の本質は、在日の人が『押す、押さない』ということではなくて、そういう制度を作っている私たち日本にあるのだ」と言い、「それは姜さんが思うようにすればいい」とアドバイスした。姜氏は言う。「私は先生の実践が伴うこの言葉に大変心が動き、ギリギリの段階で指紋を押捺し、洗礼を受けたのです。本当に救われました」。これに小中氏は「なかなか言えない言葉だなあ」と返している。
かつて、在日朝鮮・韓国人が指紋押捺しなければ逮捕されるという事態があり、それを「私たち日本の問題」と受け止めて人権擁護の運動をした土門一雄牧師のような人がいた。姜尚中氏はどんな思いで押捺したか。
今、津波被災地で、福島で、東京・大阪の教育現場で「私たち日本の問題」が進行している。この対談は不定期連載とのことであるが、続きに期待したい。