“Affluenza”

2012年9月16日  “Affluenza”
2012年度の秋学期が始まって二週間が過ぎた。学生たちも夏休み中の様々な研修や実習、そしてキャンプ奉仕などを終えて、また、守られて帰ってくることができ感謝である。今年も秋学期入学の「アジア神学コース(acts-es)」に、ドイツ、ケニヤ、ミャンマー、ウガンダからの留学生が6名加わり、また、インドネシアと米国出身の短期留学生(秋学期のみ)が5名与えられた。さらに教員サイドでも、シンガポールのトリニティ神学大学(Trinity Theological College) からアンドリュー・ペー先生(Dr. Andrew Peh)が客員研究員として来られている。彼のサバティカル(研究専念期間)で日本のキリスト教史を研究するためである。学生・教員レベルでの交流はこれからますます増えてくるし、グローバル化の時代の特徴でもあろう。

先週一週間、本学は「世界宣教講座」週間を過ごし、建学の精神の一つである「世界宣教」の使命をもう一度全学で覚える機会をもった。講師には、丁度、宣教学や宣教史が専門であるペー先生にお願いすることができた。先生はチャペル5回、講義4回と、「グローバル化時代の宣教」というテーマのもと、チャレンジングで洞察に富む講演をされた。印象に残っているのは、グローバル化の功罪をバランスよく取り扱われたこと、そして、「オリーブの木とレクサス」、「からし種とマックワールド」という今日的な社会分析の鍵ことばを用いて、オリーブの木やからし種のような「伝統的なもの」と、レクサスやマックワールドのような「世界大に広がるテクノロジー」の適切なバランスの大切さを訴えられた。

ペー先生は、最後の講演で、グローバル化時代という「時のしるし」をよく見分けること(マタイ16:3)の中で、グローバル化に伴う「過度化(行き過ぎ)」に心を見張るよう諭された。行き過ぎの最たる「さらなる消費へと向かわせる貪り」への警告は今日誰もが心して聞かねばならない事柄である。レクサスやマックワールドに代表するグローバル化は、私たちを「アフルエンザ」という病気に陥らせるという。これは、”affluence + influenza = affluenza” という合成語で、「色々なものを数多く持ちたいという流感」をいう。人間の根源的な貪欲さを煽るものである。そこに私たちの安心・安全が本当にあるのだろうか。改めて、与えられているもので満足し、隣人には分け与えるという聖書の精神とキリストの姿を、この時代の中で積極的に追い求め、実践してゆくことが求められる。

「私たちにすべての物を豊かに与えて楽しませてくださる神に望みを置くように。また、人の益を計り、良い行いに富み、惜しまずに施し、喜んで分け与えるように。」(Ⅰテモテ6:17‐18)