「VOCフェローシップ」

ある統計では、「1分間に17人(うち12人が子ども)、1日に2万5千人、1年間では約1,000万人が飢えのために生命を失って」いると言う。現在のところ、全世界の食糧生産量は地球の総人口をまかなうだけのものを得ているが、現実にはその分配の不公平さがもとで、ある国々では食糧過多で捨てられたり、また、美食と飽食のために必要以上に消費され、ある国々では食糧が手に入らず飢え、または、バランスのある食事が摂れず栄養失調となっている。貧困や衛生環境の劣化がこの飢えを助長していることもあるが、その主たる原因には紛争や政治的汚職が引き起こす様々な人的要因がからんでいる。

今ひとつの動きがある。「世界の飢えた人々に食糧と愛を」をスローガンとして、クリスチャンNGO(民間援助協力団体)の世界的なネットワークが構築された。キリスト教の「隣人愛」と「奉仕」の精神に基づいて、貧しい人々とともに歩み、与え、受け、ともに成長して、家庭や地域社会を変え、そして世界を変革するビジョンを共有しようとするものだ。これを ”Vision Of Community Fellowship (VOCF)” と名づけている。特に、アフリカの貧困や飢餓と闘っているNGOがこのフェローシップを通して互いの欠けを補い合い、情報やリソースを交換して、それぞれの使命を果たそうとしているのである。

先週、このVOCFを推進する会合に参加する機会を得た。韓国で行われたものだが、そこには国際救援・開発団体、農業学校、緊急医療団体、家族・子ども支援団体、そして高等教育機関などが参画した。奇しくも、この「VOCフェローシップ」の総裁に就任したランディー・ホアグ博士が本学の「世界宣教講座」の講師として11月12日-16日に来日される。人的な国際貢献が求められる昨今、日本社会の必要に応えるとともに世界の貧困や飢えに苦しむ人々の必要をまず知り、そこからこれに応える人々が起こされることを願って止まない。「しいたげられる者のためにさばきを行い、飢えた者にパンを与える方。主は捕われ人を解放される。」(詩篇146:7)