「秋学期9/1の祈りと願い」

キャンパスに活気が戻ってきた。すでに秋学期がスタートし、学生たちはお互いの夏の経験などを語り合っているのだろう。全寮制の本学は生活を共有する中で、その交流の密度が濃い。そこに9月入学の留学生が9名新たに加わった。今回は、フィリピン3名、ジンバブエ3名、ペルー1名、カメルーン1名、そして、ケニヤ1名の面々である。さらに、本学とアメリカのバイオラ大学との姉妹関係からの交換留学生が2名、また、オリベート・ナザレン大学から1名の留学生を迎えた。交換留学生も含めると、英語プログラムの学生は約30名になる。韓国や中国からの留学生も含めると、全体の四分の一強を占める。本当に国際的環境となるが、寮生活は特に異文化間コミュニケーションが試される場となる。

最近、二つの悲しいニュースが飛び込んでいる。一つは、アフガニスタン東部で日本のNGO「ペシャワール会」の伊藤和也さんが反政府武装勢力に拉致され、殺害されたことであり、もう一つは、インド・オリッサ州におけるキリスト教迫害である。アフガニスタンで農業支援に当たっていた伊藤さんが外国勢力排除ということで拉致され殺害されたと報じられている。ご両親やNGOの関係者の悲しみと失望はいかばかりかと思う。オリッサ州は、インド東部のベンガル湾に面したところにある。貧しい多くのヒンズー教徒のキリスト教への回心を快く思わない人々が、牧師やクリスチャンを殺戮し、教会堂を破壊し、焼き討ちにしていると報告されている。アフガニスタンもインドも、外国勢力や宗教勢力の圧迫の中で、確かに苦難をなめた歴史を持っている。

世界はますます他民族が行き交うグローバルな時代となっているが、逆に、それゆえに民族的・国家的アイデンティティを保とうとする力が働く。特に、外国勢力や特定の宗教勢力にかつて苦難を強いられた人々の憎しみとその排斥の思いは強いだろう。それゆえ、「伝統的な宗教ナショナリズム」の台頭を促しているとも言えよう。21世紀のグローバルコミュニティ-には、立場や見方の違う「他者との共存」が叫ばれる。むずかしい課題でもある。相手の立場や見方を尊重し、また、互いのそれを自由に表明し合える環境を整え、その上で、一方を選択する自由を保障する社会の形成に寄与する人物が数多く求められている。そのような人物を本学からも多く輩出したいものである。「平和をつくる者は幸いです。その人は神の子どもと呼ばれるからです。」(マタイ5:9)