「人的交流の場」

本学の毎日のチャペルは、通常の学びを一時休止して静まり、聖書のみことばに聞き、神を礼拝する時であるが、それが個人のレベルに留まらず、特に、外部説教者の来校の際には「人的な交流の場」ともなる。秋学期には創立記念礼拝・講演会や「シオン祭」、コンサート・音楽エクステンションなど学校行事が多いこともあり、学生たちは色々な人々に出会う機会を持つ。普通の大学であれば、色々な行事があったとしてもそれに参加する人のみが関わるということだろうが、本学は小規模大学であり、かつ、一日の内一回はチャペルで礼拝を共にすることもあって、来校者の面々を知ることができる。「人生は出会いで決まる」と言われるが、人的ネットワークが広がる場となっているは確かである。

11月7日(木)のチャペルは「卒業生チャペル」で、本学の卒業生が海外で働く意義と可能性を在学生たちに語ってくれた。自分が今の働きにどのように導かれたのかの経験が分かち合われ、在学生には関心のある進路について大きな視点を持つことの大切さを説いてくれた。先輩からの一言は実に大きい。チャペル後の昼食時には、彼女を囲む在学生の輪が広がっていた。翌11月8日(金)のチャペルでは、台湾長老教会の副総幹事であるシン・オラム牧師が説教された。彼は先住民族アミ族の出身で、クリスチャンであるが自分の民族的なアイデンティティをしっかりと持ち、日本のアイヌの人々との交流に重荷を持っておられる。バーチャルな世界が若者の間で広がる中、「顔と顔を合わせる」交流の素晴らしさを経験して欲しいと願う。

今週から「世界宣教講座」が始まった。貧困と飢えに苦しむ人々に「食糧と愛を」届けるクリスチャンNGOの働きをしているランディー・ホーグ博士が講師として立てられている。彼との出会いからもう7年。アメリカ人だが南米ボリビアで8年働き、ボリビア人の奥様を得て、現在、バンコックに住む異文化経験の豊富な人物である。彼の働きは「救援と開発」であるが、その目指す働きの目標は「人づくり」である。そこには「顔と顔を合わせた」人格的な交流とそのライフスタイルが示す「生き様」が大切であると言う。同じ働きを担うもう一人のマレーシアの友人が本学を訪ねて世界宣教講座に出席し挨拶をしてくれた。国や人種の垣根を越えて、同じ使命と重荷を分かち合える人格的な交流こそ、今世界が必要としていることではないだろうか。「今、私たちは鏡にぼんやり映るものを見ていますが、その時には顔と顔とを合わせて見ることになります。」(1コリント13:12a)