「ライフスタイル」

少し前に「シンプルライフ」ということばが流行した。また、それとともに「自給自足の生活」がメディアを通して紹介され、「田舎暮らし」が脚光を浴びるようになった。都会でのせわしい生活や人造世界に生きる精神的な疲労から、自然の中で、自然と共にゆったりと生きる生活への期待というものがそこにあったように思う。さらに年を重ねると、「土とともに」生きたいと願うようになる。幸いにも、本学のある千葉ニュータウンは開発が進むところであるが、「里山」があちらこちらにまだ残っている緑豊かな地域である。

シンプルライフは、「シンプル・ライフスタイル」の略語であろう。そして、その意味するところは多様である。ある人々は「ナチュラル・ライフスタイル」を思い浮かべ、ある人々は「自分にとって必要最低限の生活」を志すものと考える。そもそも「ライフスタイル」の意味するところは、あるものの定義によると、「生活の様式・営み方であり、また、人生観・価値観・習慣などを含めた個人の生き方」であるという。最近では、「ロハス」な生き方が叫ばれている。ロハスとは造語で、「健康と持続可能な社会に配慮したライフスタイル(lifestyle of health and sustainability)」で、身体と地球環境を考えながら消費や行動を選択する生き方のようである。いづれにしても、「生活の質(quality of life)」が問われているということであろう。

この「生活の質」は、生活の豊かさを単に物質的なもののみでなく、精神的・霊的なものと関わることとして見直されてきている。前述の「人生観や価値観」と深く関わる生き方である。先週、本学では「世界宣教講座」をもった。講師のランディ・ホーグ氏は、貧困と飢餓に苦しむ人々への支援に長く携わっているクリスチャンで、キリスト教の観点から「神の国のライフスタイル」について講演された。人々が意味のある人生を見出し、恐れや不安から解放され、生活の必要が満たされて、「それぞれが善き隣人となって共に生きる」ライフスタイルが、その地域の家族、指導者、そして教会を通して、実現することを切に求めておられた。「だから、神の国とその義とをまず第一に求めなさい。そうすれば、それに加えて、これらのもの(衣食住)はすべて与えられます。」(マタイ6:33)