「シオン祭」

本学の学園祭は「シオン祭」と呼ばれている。これは前身校から受け継がれているものだ。「シオン」とは旧約聖書のエルサレムの別名であり、「神が住まわれる主の山」とも呼ばれ、キリスト教界においては、やがて来る新しい「神の都」の象徴として覚えられているものである。昨年までシオン祭は11月3日の「文化の日」に開催されていたが、今年から本学の学期制の変更により一ヶ月早まって10月の「体育の日」(今年は10月13日)となった次第である。期日の変更による来会者の減少が懸念されたが、結果的には例年並の人々が来られたという報告を受け、ひとまず安堵した。

秋晴れの中、緑豊かなキャンパスの中庭がメイン会場となり、シオン祭テーマ「こっちやで!! -あなたの居場所-」のもと、外部講師として波多康氏(ゴスペル企画ミニストリー)の講演と本学卒業生内藤容子氏の賛美があった。他に、近隣の子どもたちへのプログラム、人形劇、シオン劇場、ミニライブとコンサート、教室における様々な展示などバラエティに富んでいた。今年興味深かったのは、留学生による民族ダンスであった。東南・南アジアやアフリカからの留学生がそれぞれの国の衣装をまとって民族的な踊りを披露してくれた。人々の注目度は抜群であった。加えて学生や職員などによる「食のひろば」が大盛況と言ったところ。これも、韓国のチジミあり、インド出身の留学生による「本場?インドカレー」あり、日本の焼き鳥ありと、様々な文化が交差する体験のひとこまでもあった。

シオン祭前の10月11日(土)には、本学研究所の国際宣教センター「千葉県キリスト教史研究会」によるセミナーがあり、『羊飼の食卓』や『明治キリスト教の流域』などの著作で有名な太田愛人氏が「築地バンドと房総伝道」をテーマに講演してくださった。その中で留岡幸助を紹介しながら、その教育論として「人格的要因」と「自然的要因」を取り上げて、人は人と自然との関わりを通して成長するものであると語られた。人との、特に、教師や学生仲間との人格的な交流を通して、しかも、文化や言語の違う人たちとの交流によって、一人一人の学生の人格的成長が促がされるだろう。また、緑豊かな自然環境の中で、その営みを知ることから得られる「神の創造の知恵」に畏れおののくに違いない。その素晴らしさや楽しさが「シオン祭」として表されていたように思える。「終わりの日に、主の家の山は、山々の頂に堅く立ち、丘々よりもそびえ立ち、すべての国々がそこに流れて来る。・・・それは、シオンからみおしえが出、エルサレムから主のことばが出るからだ。」(イザヤ2:2-3)