「創立記念礼拝・講演会」

本学の学校法人である東京キリスト教学園は、1980年共立女子聖書学院、日本基督神学校、そして東京キリスト教短期大学(TCC)の三校が合同してできた。そして10年後の1990年に四年制の「東京基督教大学(TCU)」が創立された。プロテスタント福音主義神学に立つ文部科学省認可の神学大学の誕生である。牧師や伝道師の育成という職業教育に狭めず、キリスト教世界観による教養教育に力を入れて、知的にも人格的にも霊的にも整えられた教会と社会に奉仕するリーダーを育成することを志している。このビジョンは、キリスト教リベラルアーツ教育による人格教育を志して1955年に開学された「日本クリスチャンカレッジ(JCC)」からすでに始まっていたが、四年制として開花したのが本学である。

2008年10月30日の創立記念礼拝と講演会の講師として立てられた方々は、藤原孝行氏(JCC卒業生、西甲府キリスト福音教会牧師)と丸山忠孝氏(TCU初代学長)であった。奇しくも、JCCとTCUに関わられたお二人であり、時空を越えた神のお導きを見る思いである。また、今年から創立記念礼拝と講演会に、学園同窓会が協賛というかたちで新たに関わるようになった。そして、この創立記念日に同窓生たちが例年よりは多く駆けつけてくださった。本学の在学生にとっては、本学の歴史的な広がりを垣間見、また、綿々と受け継がれているスピリットに触れる良い機会であったに違いない。JCCその後のTCCのモットーであったのは、「キリストを知り、キリストを知らしめる」であり、TCUは「キリストがすべてであり、すべてのうちにおられる」である。ともに、「キリスト」に焦点が当てられている。

藤原氏の説教は、「成長するクリスチャン」の秘訣を、キリストにある救いの確信をもち、聖書を読み、よく祈り、キリストに服従し、身をささげ、互いによく交わることであるとし、それぞれの頭文字を揃えて「かせいふさま」と分かりやすくまとめられた。丸山氏の講演は、16世紀プロテスタント宗教改革における「キリスト王国論」をアウグスティヌスの「神の国」と「地の国」から展開し、ルター、再洗礼派、ブツアー、カルヴァンとその理解を論説された。「キリストが王として支配する国」とこの世界との関係を宗教改革者たちはどのように理解したのか、そして、現代を生きるクリスチャンはこれをどう理解できるのかを問われた。教会はこの世界や社会に「キリストの王国」をどのように示せるのかというチャレンジでしめくくられた。「昔の日々を思い出し、代々の年を思え。あなたの父に問え。彼はあなたに告げ知らせよう。長老たちに問え。彼らはあなたに話してくれよう。」(申命記32:7)