「中年者の橋渡し」

最近のスポーツ界での注目の二人。一人は、日本プロゴルフ界のホープ、現役高校生の石川遼選手。今年プロになったばかりだが、先月の日本オープンゴルフ選手権第2位、今月のマイナビABCチャンピオンシップではプロ転向初優勝と上り調子である。若さの象徴でもある思い切りの良さとチャレンジ精神、その爽やかさに元気をもらう。もう一人は、日本女子テニス会のクルム伊達公子選手である。なんと本日、第83回全日本テニス選手権女子シングルス優勝を果たした。16年ぶり3回目の優勝だという。プレーヤーとしては高齢の38才。テレビ観戦したが、足腰はしっかりしていて、しかも、相手の動きをすばやく察知し、往年の試合運びの妙が存分に発揮されていた。一旦はテニス引退も、スポーツ選手の基本である足腰の鍛錬を怠ることはなかったと言われる。

11月5日(水)に日本福音振興会主催の日本福音功労賞顕彰式に出席した。長年日本の福音宣教に貢献された方を顕彰するものである。今年は、岡村又男氏(日本同盟基督教団横須賀中央教会名誉牧師)、平山正実氏(聖学院大学大学院教授)、H. スコーグランド氏(元バプテスト・ジェネラル・カンファレンス宣教師)の3名が顕彰された。岡村氏は長年、横須賀で牧師として地域教会に仕えられ、また、本学の理事として神学教育にもご尽力された方である。また、平山氏は、長年精神医療の現場に身を置き、心病める人々の隣人となっておられる方で、本学でも非常勤ではあるが教鞭を取っていてくださる。スコーグランド氏とは面識がこれまでなかったが、彼らのご挨拶等を通して、福音宣教とキリストにある隣人愛への一途な思い、そして、忠実さがひしひしと伝わり、その底力には大きな感銘を受けた。

若者の思い切りの良さとチャレンジ精神、年配者の基本への忠実さと使命への一途な思い。中年の域にいる者にとって、実に今月は上から下から大いに刺激を受けている。社会全体が暗い世相の中でも一条の光は差し込んでいる。若者も年配者も、もっと互いの交流を密にし、互いから学ぶように、中年者はその「橋渡し」をしなければならないのではないかと自問する。大学の中核を担う中年教員として、その教育現場で、若者のチャレンジ精神を引き出し、年配者の底力を生かす機会をもっとうかがってゆく必要を覚える。「若い男の光栄は彼らの力。年寄りの飾りはそのしらが。」(箴言20:29)