「クリスマス・カード」

12月に入りまもなくして、私の机の上には色々なクリスマス・カードが積まれる。その表紙の図柄の多様さと鮮やかさに、つい目が見入ってしまう。本学は「キリスト教学校教育同盟」(以下、同盟)に加盟しており、それぞれの学校からこの時節にクリスマス・カードが届くわけである。この同盟は、日本のプロテスタント系キリスト教学校101法人が加盟しており、本学も特に、関東地区加盟校との会合において、良き研鑽と交わりに与っている。そのクリスマス・カードの図柄には、その学校の生徒の作品を採用しているものも少なからずあり、聖家族(ヨセフとマリヤ、そして幼子イエス)や「東方の博士たち」が描かれている。

来年2009年は、日本プロテスタント宣教150周年を迎えるが、日本のクリスチャン人口は一向に1パーセントを越えずにいる。その一方で、カトリックやプロテスタントを問わず、キリスト教系のミッションスクールは、日本の私立学校教育に多大な貢献をなしてきた。特に、女子教育に果たした役割は大きい。プロテスタント系キリスト教学校においては、キリスト教信仰にもとづく人格教育を目標に掲げているところが多い。だが現実は、クリスチャン教師の減少と、学校とキリスト教会との関係が疎遠となって、その教育目標が果たされずに苦闘している。この危機意識が同盟には共有されつつあり、将来へと希望をつないでいる。

教会に導かれる方々は、かつてミッションスクールに通っていた人々が多い。聖書のことばや讃美歌が彼らの心に刻まれていた。クリスマスは、キリスト教学校にとって、学生たちにキリストは誰であるのか、彼らの人生にどのような意味を持つ方であるのかを「まっすぐ」に伝えることのできる絶好の機会である。クリスチャン教師として、学生にも同僚にも臆することなく、キリスト信仰の素晴らしさと幸いを声高に証ししたいものである。「キリストの心を心とする」教育の実践に、もう一度立ち返る機会が「クリスマス」だと思わされる。クリスマス・カードの交換は、この使命を互いに覚えるエールの交換としたいものである。「キリストは神の御姿である方なのに、神のあり方を捨てられないとは考えず、ご自分を無にして、仕える者の姿をとり、人間と同じようになられました。」(ピリピ2:6-7)