「これからの国際キリスト教学科」

9月21日(金)のチャペルは、今夏の異文化実習の「報告とそこから学んだこと」を分かち合う時となった。「異文化実習」は、本学神学部国際キリスト教学科の理念を実際の現場で体得するものである。一ヶ月間、自分の文化とは違う場所で、「ビジット(訪問)」ではなく「ステイ(滞在)」して異文化を体験し、そこから、滞在する文化をどのように受け止め、理解できるのかを考えることが目的である。今回は、フィリピンのNGOと協力してその国の貧しい人々への救援・開発プログラムや教育プログラムに参加した日本人学生二名と、岡山県の教会での実習を通して日本文化と日本のキリスト教会を学んだ韓国人留学生一名であった。

滞在としての一ヶ月間は短いかもしれない。しかし、彼らの報告を聞いていると、自分の文化では当然と思っていることがそうでないこと、そこで「とまどい」を経験したこと、そこから、その歴史的、社会的背景や仕組みに目を転じてその現実を考えたことなどが語られ、異文化理解の成果を少しく得たようである。私を喜ばせたのは、彼らがこれを一回限りの異文化体験とせず、かつて異文化実習を経験した仲間たちと「国際救援・開発」について考えるサークルを自発的に立ち上げたことである。

2008年4月から本学は、国際キリスト教学科を名称変更して「国際キリスト教福祉学科」とすることを予定しているが、従来の国際キリスト教学科のスピリットはいよいよ深まりこそすれ失われることはない。日本の高齢社会が必要としている「介護福祉」に従事する者と、世界の貧困や飢餓への取り組みに進んで関わってゆく者と、本学科はこの二種類の「働き人」を現代社会に送り出したいと願っている。そんな中、一人の卒業生が学長室を訪ねてくれた。これから日本のNGOを通してカンボジアに行くことが決まったという。まさに、国際キリスト教学科の目ざすことが一つ一つ実を結んでいると確信されられたことである。「あなたがたが、これらのわたしの兄弟たち、しかも最も小さい者たちのひとりにしたのは、わたしにしたのです。」(マタイ25:40)