「50+20」戦後70年ブックガイドのご案内
「日本の教会の戦後50+20年:戦後70年ブックガイド」のご案内
当館では、当大学の学生サークル「ザーカル会」メンバーと協力して、「日本の教会50+20年:戦後70年ブックガイド」を作成いたしました。この小冊子が、歴史の事実に向き合い戦争と平和、「戦後70年」について認識と理解を深める一助になれば幸いです。また、作成にあたって、ご協力くださった皆様に改めて心から感謝申し上げます。
「日本の教会の戦後50+20年:戦後70年ブックガイド」は上のpdfリンクをクリック・ダウンロードしてご利用ください。
巻頭言 山口陽一(東京基督教大学図書館長代行)
「東京基督教大学図書館では、戦後50年の1995年に、かなりのボリュームのブックリストを作成しました。清水氾館長の巻頭言は「昭和20年5月3日、9歳年上の兄が潜水艦伊44号とともに沖縄の海に沈んだ」と始まり、以下のように締めくくられています。
「戦争とは何か。勝敗とは何か。加害者とは何か。被害者とは何か。これらについて書かれたものを読もう。(中略)私どもが『さばきについて彼らは知っていない』(詩147:20)民であることを肝に銘じよう。その時初めて、日本のクリスチャンにとってヨベルの年が始まる。」
戦後50年、そこまで営々と築き上げた国際協調主義は村山談話を生み出し、教会の戦争責任告白も相次いで出されました。これは通過点のはずでした。しかし、経済における新自由主義とこれに連動する歴史修正主義の中で迎えた戦後70年は、解釈改憲による安全保障関連法案国会審議の夏となりました。今にして思えば、戦後50年はアジアにおける協調主義の一つの頂点でした。
2015年8月9日、長崎の原爆70年平和記念式典が、75ヵ国の大使らを迎え6800人が参列して行われました。田上富久市長は、平和宣言で参院で審議中の安全保障関連法案に言及し、「憲法の平和の理念が揺らいでいるのではないかという不安と懸念が広がっている」と指摘、会場から拍手が起こり、総理は居心地が悪そうでした。戦争を知る世代は勿論のこと、戦争責任にはさほど関心もなく改憲もありと考える若者が、戦争に向かう政治に敏感に反応し、学びを始めています。
今回のブックリストは、戦後50年以降の20年を意識して編まれています。今回も東京基督教大学の学生サークル「ザーカル会」と、新たに15人の方々から本の推薦とコメントをいただきましたことを、心より感謝いたします。70年を越えて「戦後」を続けてゆくための読書と祈り、行動を続けつつ、ヨベルの年を待ち望みましょう。このブックリストがそのための一助となれば幸いです。