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第1回 A-1 脳神経科学とポジティブ心理学 研究会

2014.5.24|東京ガーデンパレス桂の間

 

発題:
浅野孝雄|脳神経外科学/埼玉医科大学名誉教授
保江邦夫|数理物理学、脳科学/ノートルダム清心女子大学教授

 

[概要報告]
脳という大量の神経ネットワークでできた生理的物質から、いかにして意識(心)といった人間に固有の現象が出てくるのでしょうか? 心脳問題は現代の科学、医学、心理学などの諸科学と哲学を巻き込んだ大問題であり、さらには人間の宗教意識の根源とその意味を知るうえでも避けて通れない問題です。ただし諸科学の境界領域を超えなければ解明できない分野ですので、同時に科学の方法、限界をめぐっての議論も並行的に進むことになります。
5月24日の研究会では、第1回研究会にふさわしい白熱の議論が展開されました。

浅野孝雄氏によるフリーマン理論の紹介と解説、保江邦夫氏による量子場脳理論の紹介と解説。どちらの理論も単独のニューロンの働きよりも、集団運動、とくに非線形ダイナミックスに着目します。量子場脳理論は、物理システムとして脳をとらえ、フリーマン理論はニューラル・ネットワークとして脳をとらえます。それぞれの方法論には違いがありますが、意識(心)とはなにかについての科学の側からの一つの解釈を提起しました。特別科学的知識に詳しくなくても、波動やカオス的アトラクターの集合という発想には、モノではなくコト的な意味が読み取りやすいのではないでしょうか。ここで解釈学的アプローチは大いに参考になります。

今後、志向性の概念の拡張によって、自然言語を通して脳から心が創発するメカニズムと心の表現や認知機構と結び付けつつ、周囲環境との相互作用のなかで幸福な社会形成の意味の探究につなげていきたいと考えています。 (稲垣久和)

 

A-1 研究会 開催趣旨(PDF)

浅野孝雄氏 レジュメ(PDF)

保江邦夫氏 レジュメ(PDF)

 

後日、全体の記録をアップします。