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第2回 いのちのケア・セミナー

日時:2015.1.13 13:00-15:30|会場:東京基督教大学 教室研究棟 中4教室

 

IMG_1245_R  ゲスト: 関根美智子さん(社会福祉法人・同仁学院施設長)

 

第2回目となる「いのちのケア・セミナー」では、生まれてきた命をどのように育んでいくべきかをテーマとしました。今回は、社会福祉法人・同仁学院施設長である関根美智子氏を講師に招き、現場からの声として現状や働きを伺い、そこから見える現代の日本の家族のあり方、子供とのかかわり方を提言していただきました。

同仁学院は、埼玉県・日高市でキリスト教精神に基づいて戦争直後に設立された70年の歴史をもつ施設であり、現在は、児童養護施設「あいの実」、児童家庭支援センター「シャローム」、一般家庭を開放して乳幼児を預かる「シオン子どもの家」を運営しています。50名ほどの子供たちが入所され、50名ほどの職員の方々が働きにかかわっておられます。

セミナーでは、できるだけ家庭に近い形での養育を目指すため、少人数が各家に分かれて生活する「小舎制」の特徴などを解説した同仁学院を紹介するDVDを鑑賞した後、子供たちの施設入所のいきさつや入所中の様子、退所後の歩みの事例が取り上げられました。同仁学院の児童養護施設としての長い歩みの中から、設立当時は、戦争で両親を失った孤児が多数であったこと対して、近年の傾向として、精神的・心理的虐待を理由とした入所が増加している現状が語られました。特に、平成10年の児童福祉法一部改正に伴い、虐待の通告が増加した背景を受け、同仁学院においても、警察からの連絡だけではなく、学校や病院からの連絡を受けるといった現状が紹介されました。同時に、虐待の見分け方や、虐待が疑われる子供に接したときの心構えも語られました。また、入所者の中に学習障害の傾向をもつ子供たちが増加していることも指摘されました。

 

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右:質疑応答の様子。/プログラムリーダーの岩田三枝子氏

 

そのような現状の中で、入所してきた子供たちが家庭に復帰することを目指す際に、子供たちを「被害者」、そしてその親を「加害者」として一方的に評するのではなく、子供と親の両方に対して適切な対応を時間をかけて行う事の大切さが提言されました。

今回のセミナーでは、日本における子供たちを取り巻く現状を通して、子供たちの課題はまたその親たちの課題でもあり、また社会全体の課題であることが指摘されました。社会全体で「いのち」を尊び、子供たちを守り、育てていこうという「いのちのケア」につながる提言となりました。セミナーには東京基督教大学の学生たちを中心に30名ほどが参加しました。セミナー後、児童養護施設の働きに関心を持ち、施設でのインターンを希望する参加者の声も聞かれました。

 

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