所長あいさつ

共立基督教研究所 所長 稲垣久和

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人は幸福を求めて生きているものだと思います。近代西欧世界の価値観はこの幸福を数値化したところから、功利主義の「最大多数の最大幸福」を引き出し、それを金銭的価値に還元してしまいました。しかし幸福は主観的なもので数値化になじまないものです。なぜでしょうか?
それは幸福が身体的、精神的、社会的なものだけではなく、スピリチュアルなものをも含むからです。

スピリチュアルとは、人格と人格の触れあいと対話から始まります。英国の文学者C・S・ルイスの作品に『四つの愛』と名付けられた小品があります。愛の諸相を分類して、家族愛、友愛、男女愛、それに神の愛について述べたものです。そしてスピリチュアルなものとは、この「神の愛」に関わるものです。

このような倫理的、主観的、文学的テーマをどのように学問化していくことができるのか、これは今日、グローバルな人類に共通した大問題です。学問的研究とは、こういった身の回りの素朴な疑問を、対話的に筋道立てて考えていくところから始まるのではないでしょうか。