神学校閉校のご挨拶

「神の栄光と福音宣伝のために、敬虔と奉仕と祈りの生活に専心し、この世と妥協せず、神の御言に忠実に従う伝道者を養成する」これが62年前の「開設の趣旨」です。入学費300円、授業料一学期1,000円。もう一度、入学したいような額です。
この62年の歴史のちょうど真ん中で、当時の日本基督神学校は、東京キリスト教短期大学、共立女子聖書学院と合同し、東京キリスト教学園に統合されました。「3校の協力関係についての趣意書」は、戦後三十年を経た神学教育機関の分立を憂え、「いよいよ力を増し加えつつある世の挑戦に対抗しつつ、次の世代の教会の指導者を養成し、神の栄光をあらわしうるためにはこの歴史的な曲がり角にあたって広く福音主義神学教育機関が協力関係を樹立することが求められていると信じます」と表明しています。
1989年の千葉移転に際して、当時の下川友也校長は次のように書いています。「現在計画中の「四年制・東京基督教大学」が設立された暁には、その入学者が三年次を迎える段階で(1992年の予定)、諸他大学・神学校卒業者は、新大学の三年次に編入の形をとることになり、ここで、神学校と新大学の強力な一本化が果たされるわけです。神学校は、その三、四年課程の教育に全面的に協力するとともに、その上にさらに積み重ねられる伝道者養成課程(2年前後)の専門教育にあたる姿となります」(『東京キリスト教学園のあゆみ』p53)
それから20年かかりましたが、両校の統合に向けての十分な準備の時を経て、この度の閉校、また大学院設置となりました。
この間の卒業生539人は、すでに召された方もおられますが、「神のことばとイエスのあかしとのゆえに」、それぞれのパトモスにおいて仕えておられます。卒業生が皆、流罪になっているという意味ではありません。そのような覚悟で、遣わされたところで仕えておられるということです。
東京基督神学校は、2012年3月31日をもって閉校いたします。そして、その伝統は東京基督教大学神学科教会教職課程に引き継がれます。
この間、神学校のためにご尽力下さった教職員、理事・幹事・顧問・評議員、学生と同窓会・諸教会の皆様に心から御礼を申し上げます。そして、62年6ヶ月の全行程を導かれた主に感謝しその御名を賛美いたします。
これをもちまして閉校の挨拶とさせていただきます。(3月9日卒業式における閉校式挨拶)