「寄附文化の醸成」

毎週木曜日にはやるべきことがある。それは本学に献金してくださった方々への領収書に一筆添えることである。毎週、30-50口の献金が寄せられ、その教会や企業、個人を思いながら一言書く。多いときには60-70口となる。口数が多い週には「嬉しい悲鳴」を上げる。多くの方々が献金してくださったことへの感謝とともに、一言書くのも実に骨の折れる仕事となるからだ。何年も続けて献金してくださる教会や企業、そして同窓生や教会員がおられること、また、新たにこの献金に加わる方々が起こされていることには、本当に励まされる思いがする。幸いなことに、献金者の多くを知る者として、それぞれの教会を、個々人を思い起こしながらペンを走らせている。本学の教育に対する彼らの期待と祈りをしっかりと受け止めたいと願いながら。

2011年4月に、「東京基督教大学『明日の世界宣教者育成』支援会」(TCU支援会)が発足した。教会と社会にキリストの主権とその救いを伝え表す奉仕者を世界中に送り出す本学の教育を諸教会に知らせ、ご支援をお願いして、キリストの御国の進展という使命をともに担っていただきたいと願うからだ。同窓生や諸教会の賛同を得て、これまでに沖縄地区、福岡・山口地区、広島地区、岡山地区、四国地区、関西地区、名古屋地区、関東地区にTCU支援会が立ち上がった。これから発足しようと準備している地区もある。同窓生が中心となって、本学と各地区の同窓生や諸教会をつなぐ働きを始めている。学術的・人的交流とともに、本学への学生の派遣や経済的な支援を願う次第である。

TCU支援会の発足に伴って本学への献金支援者が増えてきていることは感謝である。「明日の世界宣教者育成」は教会全体の祈りであり責任であることを共有してくださっている。元教員の遺言による本学への献金や召天された同窓生のご遺族からの献金もいただいた。悲しみと痛みを越えて、次世代の御国の働き人育成への祈りと期待がこめられたものとして深く受けとめている。本学への献金は、同じビジョンを共有するところから発し、そこに祈りと期待が込められて、信仰によって献げられていることを思う。ある先輩教員が、「日本にはもっと寄付文化が醸成されなければならない」と言われたことを思い出す。キリストの愛を知った教会こそが寄付文化の魁となりうるし、それがキリスト教の伝統ともなっている。東日本大震災から11ヶ月。多くの支援金やボランティア支援が寄せられている。「人を育て、人を愛しむところ」に、多くの献金(寄付金)が献げられる社会を形成したいものである。

「ひとりひとり、いやいやながらでなく、強いられてでもなく、心で決めたとおりにしなさい。神は喜んで与える人を愛してくださいます。」(2コリント9:7)