「天寿を全うして」

8月の最後の主日である28日の朝、他教会での礼拝説教奉仕のため、武蔵野線の電車に揺られているときに携帯が鳴った。菊池実先生からの三谷幸子先生(東京基督教短期大学名誉教授)召天の報であった。日曜日の午前1時31分に102歳の生涯を全うされて天の御国に凱旋されたとのことであった。そして、その日の夜、午後8時より晩年を過ごされた草加キングスガーデンで葬儀が執り行われると言う。突然の報であったが、奉仕先の教会が同じ方向であったことや、学園関係者への連絡等がスムーズに行って、伊藤天雄事務局長とともに葬儀に参列することができた。

葬儀は「三谷会」の方々が取り仕切られて行われた。司式は三谷先生の所属教会であった日本同盟基督教団中野教会の石川弘司先生、説教は三谷先生と親交の厚かった藤原導夫先生で、ご遺族をはじめ三谷会や草加キングスガーデンの方々の臨席のもとで、三谷クワイヤーの賛美とともに故人を偲び、故人の人生を豊かに導かれた主なる神を覚えた。三谷先生の本学における教会音楽への貢献は大きな宝である。また、三谷幸子奨学金は、現在も学生たちの勉学に大いに用いられている。先生の信仰と音楽への情熱を受け継ぐ卒業生たちで組織する「三谷会」の強い絆を葬儀を通して改めて覚えさせられた。三谷先生の晩年を傍らに寄り添い、しっかりと受け止め支えた草加キングスガーデンの職員が吉野健太郎兄であった。本学の卒業生である。時を越えて、同じ学び舎を共有する二人の日々は、彼の故人の思い出話とともに実に麗しく感じられた。

教会の音楽を指導する働き人の育成も東京キリスト教短期大学と東京基督神学校を経て、本学に引き継がれた。また、入学式、卒業式で特別に賛美の奉仕をするクワイヤーも三谷先生の指導以降、次々と有能な指導者によって受け継がれている。今年から学部の教会音楽副専攻と大卒を対象とする教会音楽専攻科が本学に設置された。礼拝と音楽はかたく結びついている。多様な音楽ジャンルや演奏形態をも受け止めつつ、真の礼拝と賛美のあり方が今後も研鑽され、相応しい教会音楽主事が輩出されることを願っている。ちなみに、三谷会が主催する「三谷幸子先生お別れ会」が来る10月17日(月)午後5時より日本同盟基督教団世田谷中央教会(安藤能成牧師)でもたれる。音楽をもって主に仕え、天寿を全うされた三谷幸子先生を皆で偲びたいものである。 「やさしくとうとく いともちかく、 むかしにかわらず ともにいます。」(讃美歌#300 故人愛唱歌、1ペテロ1:8)